法律に限らず,なにかを専門的に扱っているとあるあるの話だと思うのですが,ネットに転がっている知識は「確かにその通りなんだけど,そうじゃない時もあるし,こういう条件があればこうなる時もある」みたいな補足したくなる時ありませんか。
「一概には言えないし,状況による」っていうのを前提にネットを読んで,鵜呑みにはしないというのを念頭にネットの知識と共存するのが一番良いと感じます。
債務整理の情報も,いまや検索するだけで山ほど情報がなだれ込んできます。
でもどこかニュアンスが違ったり,説明が違ったり,別方向で説明していたり。その断捨離といいますか,全てが自分に当てはまるわけではないことを知っていただきたい。
弁護士の依頼はオーダーメイドです。誰に対しても同じではありません。世に出回る知識だけで債務整理をカンペキに遂行できるのであれば,とっくにそんな世の中になっているはずです。
債務整理は建前としては自分でも可能ですが,アキラカに弁護士に依頼をしたほうが確実ですし,自己破産を個人で行なうとなると裁判所の印象は良くなく,厳しめの管財人の調査が入るはずです。一応出来ないことはないけど,実務上やるのは望ましくないし,有利でもないといったところでしょうか。
ネットの一般的な情報よりも,あなたご自身の状況を知った弁護士の発言を信じていただきたきたいです。
以上現場からでした。
さて前置きが長くなりましたが,今回は学んだことを保存するためにブログの場を使います。
前述したように,債務整理の手続きは人によって対応は様々です。自己破産をするにも一筋縄ではなかなかいきません。
実際の例として,退職金の扱いです。
自己破産では「退職金を請求できる権利(債権)」も財産としてカウントします。 「おう退職金発生するならそれも処分するから今すぐ仕事辞めろ」とは言いません。
破産の申立てをして,裁判所から「破産の手続きをしてもいいですよ」といわれた日を時点として,「仮に今仕事を自己都合退職したら退職金いくらもらえるのか?」を調べたり,根拠のある書類を提出してもらいます。
会社に勤続中に,自分が辞めた時の退職金がどうなっているのかって,よく知らないのが普通だと思います。
会社によっては,システム化されていてすぐに自分の退職金が見れるところもあるようですが,それは珍しいケースで, 多く見かけるのは,退職金規定や就業規則に計算式や図表があって自分で計算するタイプです。この書類を弁護士まで提出出来れば手っ取り早いですが,もし社外秘とかで提出が出来ないような状況であれば,会社に頼んで退職金計算書というものを発行していただくことが多いです。
もっとも,働いている人全員提出必須ではありません。
勤続年数が長くない人(3〜5年程度ですかね)や,非正規雇用などで雇用契約上退職金が発生しないだろうという人は提出自体求められません。
あとは,就職時に手元に控えた雇用契約書とか,労働条件通知書とかに退職金がないと書いてあれば,それが証明になることもあります。
退職金制度がある方でも,このまま退職せず勤続する場合は,退職金の8分の1が20万円未満であれば問題ありません。
また,最近採用する企業が多い確定拠出年金401Kはいくらあったとしても処分対象外です。
こうして,会社ごと退職金制度が違うので,破産手続き上の問題があったりなかったりでそれなりの調査が必要なんですが,必要になる書類もほぼ決まっていますし,弁護士もどう対処したら良いかはわかっているので,退職金の諸対応で手続がつまづくことは心配しなくて良いと思います。
最近は一度就職した場所に定年まで就くといった習慣は引き継がれなくなりつつある世の中です。
色々な場所で経験を積んで,最終的に好きな場所で身を納める。となると継続して働くほどお金がもらえる退職金のシステムがあまり活用されないというか,人員を確保する仕組みが崩壊していくような。
だから最近「前払退職金」という会社もありますね。退職時に退職金が出るのではなく,毎月の給料に少しづつ上乗せで退職金がでる形です。(いち事務員この前払退職金のことも最近まで知りませんでした。)
これだと退職金が事実上毎月の給料と同じ扱いとなって,破産手続きでも退職金の問題が生じないメリットがありますね。
ということで,借金が多くなってしまって自己破産を検討する時は,ご自身に退職金があるのかどうか,就業規則や退職金規定は弁護士に提出できるのか,手元に雇用契約書や労働条件通知書はあるのかを確認しておくと安心です。
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